8211(ハニイイ) Q&A
@なぜ予約診療ですか?
それは、患者さんに計画的な一口腔単位の治療を行う為です。また事前に、治療の準備やスタッフ間の打ち合わせが必要な場合もあります。当院では、万全の態勢でなるべく診療に従事したいと、望んでおります。さらに、少しでも患者さんにお待ちいただく時間が少ない方が良いと考えておりますので予約診療にしております。もちろん、お痛みや脱離等の急患さんには随時対応しておりますのでご安心下さい。当院の場合は、患者さんとの信頼関係に基づく予約優先制もしくは予約約束制と言った意味合いで実践しております。
A歯の治療が、1回で済まないのはなぜですか?
歯に関する疾患には慢性と急性の二種類があります。一旦、痛みが治まっていても、まだ原因が直っていない場合もあります。病状を見ながら、少しずつ治療を慎重に進める必要のある場合もあります。また、義歯やブリッジ等の補綴物を新たに装着した場合も、馴染むまでの調整が必ず必要です。よって歯科治療には、経過観察やリコール(定期検診)が必要なのです。治療に複数回かかっても、きっちりと病状や経過を見ながら進めることが必要です。ブラッシング指導や歯石除去等の歯周病の初期治療も、家を建てる前の基礎工事の様なものです。可能な限りすべての面で時間をかけて丁寧に治療を進める事を、当院では推奨しております。

    B保険と自費診療の違いは何ですか?

現行の健康保険制度では、財源の問題にて、使用材料や治療方法に制約があります。私は、自費診療も患者さんの選択肢の一つと考えております。保険診療の方法や材質に、違和感や不満を感じる方は、一度相談をしてみて下さい。詳しい内容や値段を充分に聞いてから、決めて下さい。迷いや不安のある患者さんは、一度保険の方法で試して見られることを、お勧めします。特に、義歯の治療は、形や噛み合わせを決めるのが困難な場合が多いです。保険の義歯で、まず様子を見て、不満な箇所を自費診療の義歯で治されることを、お勧めします。また、本音を言うと、多少治療や補綴物を作製する手間や時間に、コストに準じた差が有ると思います。また快適さや審美的な要素は、保険診療の範囲内にはあまり加味されていないと思います。

    C補綴物の保証はあるのですか?  

当院の場合、保険診療におけるクラウンとブリッジについては、補綴物維持管理料に基づいて、2年以内の当院で作成した物の再製に関しては、料金は頂きません。自費診療に関しては、通常の使用において破損した場合、1年間は無償にて再製致しております。オールセラミックスのプロセラクラウンは3年間の保障を設けております。それ以外は、使用状況や使用年月に応じた修理費を、頂いております。もちろん、定期検診に全く来院されない方や使用方法や手入れの乱暴な患者さんは保証対象外となる事も有りますので、ご注意下さい。当院では、なるべく患者さんの負担が増えないように、努力しております。また、私はこの様な補綴物の保障期間をやたら長くする事は、現行の自費診療の治療費の高騰を招く場合も有ると思うので、あまり賛成はしておりません。10年後や20年後の患者さんの健康状態や口腔内環境がどの様に変化するか予測不能な面も多くあると思いますので、ご理解下さい。お金さえ出せば一生もつと言う補綴物は、私は無いと思います。但し条件が合えば10年後や20年後にも十分に耐用する事もありえると思いますので、日々の歯の手入れを充実させてなおかつ定期検診(リコール)を受診される事をお勧めします。
 D感染予防はどうですか?
 当院では、院内感染を防止する為に、ほとんどの器具を薬剤(グルタルアルデヒド)と超音波洗浄機と高圧蒸気滅菌機(オートクレーブ)を用いて、滅菌しております。肝炎等の感染性の有病者の患者さんには、なるべくディスポーザブル(使い捨て)の器具を用いるようにしております。インプラント等の高度な外科処置は、設備のある口腔外科へ、紹介をしております。院長や衛生士のラッテクス・グローブも必ず、患者毎に交換するようにしております。もちろん注射針やメスはディスポーザブルです。個別の器具を希望される方は、実費にて相談に応じます。個別の患者さん専用の治療器具を業者より買い取って頂いて、当院にて滅菌保管を行いその患者さんのみに使用すると言う方法です。例えば、マイカップやマイピンセットを購入して頂くことです。平成30年10月よりの施設基準により「口腔内で使用する歯科医療機器等について、患者ごとの交換や、専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理を徹底する等十分な院内感染防止策を講じている事」が明確に規定されました。当院では、従来よりのスタンダードと考えております。
 Eインプラントや歯列矯正はやってますか?
残念ながら、当院の設備と技能では無理ですので、近隣の私の信頼の置ける専門医を紹介しております。矯正に関しましては、あおい矯正歯科(京都市下京区TEL075−211−2527)等に紹介をしております。口腔外科に関しましては、尚クリニック(下京区TEL075−352−3610)や京都市立病院歯科口腔外科(中京区075−311−5311)等に紹介をしております。
 Fカルテは見せてもらえるのですか?
現在の法規では、レセプトやカルテは開示の方向にあると言えます。但し、現在のところ、カルテの記載様式や用紙には全国的な統一様式が、まだ定まっておりません。日本語、英語、ドイツ語、ラテン語のチャンポンにて書かれているのが現状です。また、日々の診療に追われている現場で、短時間にて定められた要件を記載せねばなりません。当然、乱筆乱文になると思います。もっと、患者さんに判りやすい統一した様式や、ワープロ記載が普及すれば、望ましい環境に近づくと思います。また、昨今は医療関係の訴訟も多いので、歯科医院側も慎重な対応になっております。、私は、歯科医師会や顧問弁護士の指導のもとで、正当な理由があり必要ならばいつでも開示するつもりでおります。但し、開示のための手続きが煩雑であったり医院側に拒否権も有り、現実はなかなか難しい様です。

 G歯の治療費の料金表は無いのですか?
現在の歯科診療には、保険診療と自費診療の二種類があります。前者の保険点数は、もちろん全国共通です。自費診療の料金は、各々の診療所によって任意に設定できます。よって、自費診療の費用は、医院によって異なる場合が出てきます。当院では、自費診療の場合は何通りかの方法や使用材料や料金を明記して、治療に着手する前に患者さんに説明して渡します。後日、患者さんの選択された方法に基ずいて、自費診療を開始します。但し、保険診療の場合は、患者さんの保険の種類や福祉の適応の有無にて一部負担金の割合が異なります。また、現行の保険制度の算定は非常に複雑で、同じ虫歯の治療でも、治療回数や検査方法や使用材料によって保険点数が異なります。よって、待合室や受付に保険の多岐にわたる治療費を書いて掲示するのは無理だと思います。義歯やクラウン・ブリッジ等の補綴物を次回に装着する予定の場合に治療費の事で不安であれば、次回にどの位の治療費が必要かを、お気軽に聞いて下さい。概算であれば、お答えできます。また、当院の自費診療の治療費は当HPにて公開しておりますので参考になさって下さい。
 H金属アレルギーが心配です?
金属アレルギーの原因には、金属製のピアス等のアクセサリーや歯科治療に使われている口腔内の合金製の充填物や補綴物がなっている可能性があります。 まず、怪しい症状の出ている患者さんは、皮膚科やアレルギー科にて金属アレルギーの検査を受けて頂きます。そして、アレルギー反応がどの金属の種類によって起こるのかを、検査します。もし、歯科治療が原因になってる可能性が高いという診断が出た場合、医師の指示によって口腔内より撤去すべき金属類のリストを作って貰います。そして、歯科医院の方で該当する金属物を口腔内より撤去します。そして、次のステップとして安全な材質(金属)の選定に入り、充填物や補綴物を交換します。概ね、保険診療における金属物の組成は判りますが、中には古かったりして不明な物も有り得ます。疑わしい物から順番に撤去して、アレルギーの症状が軽減したり無くなればOKです。但しアレルギーが出にくいとされる、Ti(チタン)や白金加金やセラミック素材は保険が効かないので、色々と相談も必要になります。

           ITBIとかPMTCとは何ですか?

TBI(トゥース・ブラッシング・インストラクション)とは、ブラッシング指導の事です。患者さんの口腔内に付着しているプラーク(歯垢)を専用の染色剤にて染め出しをして、適正なブラッシングの方法や清掃器具の種類を指導します。場合によっては、プラークコントロールレコードと呼ばれるスコアー(点数)を付ける事も有ります。次に、PMTC(プロフェショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とは、歯科衛生士等の専門家による器械的歯面清掃の事を指します。簡単に言うと、歯科医院にて行う歯石やニコチンや茶渋等の歯の沈着物の除去を意味します。当院では、PMTCに超音波スケーラーやエアースケーラーやハンドスケーラーやコントラ用シリコンカップ等の専用器具を用います。機械の進歩も有り、殆ど痛くなくなりました。以上の処置は、歯周病や齲蝕の予防処置として非常に有効です。当院では、専門の歯科衛生士が殆どの患者さんに対して、健康保険の範囲内の負担にて実施しております。かなり時間のかかる場合もありますので、必ず予約の上で申し込んで下さい。知覚過敏や歯周病の重症な患者さんには、院長が局部麻酔下にてスケーリング(歯石除去)やSRP(スケーリング・ルートプレーニング)やFOP(フラップ・オペレーション)と呼ばれる歯周外科処置を行う場合も有ります。最近では、定期的な歯のチェックや清掃に来院される患者さんも増えております。お気軽に、相談して下さい。
 J咀嚼が健康に良いのはなぜですか?
まず咀嚼機能の一つとして、口の中で食物を細かくして唾液を混ぜるという働きが有ります。これによって、胃腸での消化を促進する事と唾液中の酵素の働きによる抗菌作用や食物中の活性酸素の抑制効果が有ります。また、唾液腺ホルモンであるパロチンは皮膚・血管・胃腸粘膜を若々しくし、脳の老化を防ぐ働きも有ります。また、よく咀嚼する事により、触覚・味覚・嗅覚・筋肉の運動感覚等を通して、脳を活性化し、味覚の充実や満腹感が起こります。それによって、精神的な緊張感やストレスから開放され、自律神経の調整能力を高めるとも考えられます。脳の活性化によって、勉強やスポーツや仕事等にも好影響を与える事が考えられます。また、高齢者の方も良く咀嚼する事によって、老化や痴呆症の防止に役立ち、また若々しい表情で社交的で意欲的な食生活が送れるものと考えられます。また、家族揃っての楽しい食事の団欒は、様々な現代の青少年問題の解決の糸口につながると、私は信じています。
 Kホワイトニングとはどの様な治療ですか?
ホワイトニングとは、白く美しい歯を得る為に行う歯科治療の総称です。当院では、まず患者さんと相談を行い、歯の色に対してどの様な不満を持ているかやどの位直したいのかを確認します。もちろん、口腔内検査やTBIやPMTCを先に行います。ホワイトニングの適応症である場合のみに治療が進められます。一部、効果が期待できない禁忌症もあるので、注意が必要です。当院では、漂白する薬剤にマイルドなものを使う、ホームブリーチングと言う方法を用いています。各患者さんに合ったマウスピースを作り、自宅にて薬剤を注入して約30分ほど装着します。メーカーによっては、2〜8時間くらいの装着を推奨している製品もあります。その後、専用の歯磨剤にてブラシングをしてもらいます。通常これを、2〜3週間ほど続けてもらいます。中には、約1ヶ月以上かかる症例も有ります。その間、2〜3回チェックに来院してもらいます。この薬剤の中には、数パーセントから10パーセント位の濃度に調整された過酸化水素や過酸化尿素が含まれております。通常の使用では、少しの知覚過敏が出る事は有りますが、ほとんど問題は無いと思います。専用の歯磨剤の中には、知覚過敏を抑制するフッ素が入っています。また、ホワイトニング治療は、元の歯の色に少しずつ戻る性質があるので、2〜3ヶ月ごとの検診とアフターケアーが必要です。歯を削ったりせずに、白い美しい歯に誰もがなれる可能性の高い安全な治療です。但し、現行の保険制度では認められてないので、自費診療となります。当院では、かなり低価格にて実施してますので、お気軽に相談して下さい。また、金属やプラスチックの詰めてある歯や神経の無い歯は無理なので、天然歯が治療の対象となります。また、白くなる度合いや速度には個人差が有りますので、御了解願います。なるべくホワイトニング治療の期間中は、喫煙やコーヒー等の色の濃い飲食物を控えて頂く方が、好結果が出ると思います。さらに、ホワイトニング治療にての結果が少し物足りない場合は、ポーセレンラミネートベニヤという薄いセラミックカバーの歯を、当院でホワイトニング治療を受けられた患者さんには少し値引きして提供しておりますので、相談してみて下さい。
L磁石式義歯(入れ歯)とはどの様なものですか?
 
磁石式義歯(入れ歯)とは、小型で高性能の磁石を入れ歯の内面に取り付け、磁性金属を残っている自分の歯に根面板として装着する義歯の名称です。特徴として、まずかなり小型の装置ですので殆ど目立たず、金具が外へ出ないので見た目もすっきりとします。また、着脱も簡単で、シンプルな構造なのでお手入れも簡単です。磁力の方も、最近の製品はかなり高性能なので、長期間たっても殆ど劣化しません。人体へも、悪影響はありません。但し、口の周辺のMRI画像を取るときは、画像が白くぼけますが、頭部のMRIの撮影には影響は殆どありません。必要なら、一時的に撤去したり、義歯をはずす事にて済みます。現在のところ、健康保険は適用されませんので、料金等相談して下さい。なお構造上、歯根の残っていない無歯顎の患者さんには、適応不可です。また、治安の悪い外国の空港の金属探知機(高感度)には反応する場合が有り得ますので、海外旅行の際にはご留意下さい。日本国内の空港では、まず大丈夫です。

         M転医は、どの様にしたら良いのか教えて下さい?

各歯科医院の治療方針や診療スタイルあるいは、院長のキャラクターは様々だと思います。また、必ず歯科医師と患者さん、あるいは診療所のスタッフと患者さんとの相性はあると思います。よって、患者さんが、今通院されている歯科医院から他院へ転医したい場合は、当然ありうると思います。もちろん、自院での治療効果が期待できない場合や、自院の設備にて対応不能な場合は院長の方から、それなりの設備や技能のある診療所に紹介して、転医を勧める場合もあると思います。とにかく、通院中の医院を変わるときには、治療を中断する旨を伝える事と、もし残っていれば治療費の清算は済まされる方が良いと思います。出来るだけ、不審や不満な点は速やかに、通院中の医院の院長に話された方が良いと思います。直接話しにくい事は、メールなどを使うと良いでしょう。自分にあった主治医との巡り合わせが、幸運な場合もあればそうでない場合もあるかと思います。とにかく、主治医を信頼してじっくりと向き合う事が、大切だと思います。中には、前医の批判をされる医院もありますが、僕は大反対です。歯科医師の誰もが、患者さんの為にと日々の診療に打ち込んでいるものと、僕は信じていますから・・・。
                 

         Nどの様な患者さんが、医院側から見て好感が持てますか?

まず、治療の前には歯磨きをして、なるべく口の中を清潔にして来て下さい。女性の方で髪の毛の長い方は、一つにまとめて頂くと助かります。もちろん、口紅も落としておいて下さい。次に、歯科医療には人間関係が非常に大切ですので、最低限の挨拶は、来院時には、お互いにした方が良いと思います。予約時間の厳守や無断キャンセルをしない事は、マナーとして大切です。誰でも、医療に対する不安や不信感や恐怖心と言ったネガティブな気持ちはあると思いますが、出来るだけ、先生やスタッフを信頼しようとする姿勢は、持った方が良いと思います。少し、時間のかかる場合もあるかとは思いますが、頑張ってみて下さい。もちろん、色々な疑問や要望は素直に話された方が良いでしょう。家族や友人の意見も大切ですが、なるべく、先生や歯科衛生士や技工士等の専門家の意見にも、耳を傾けて参考にして頂くのが良いでしょう。無理な要求をしたり、すぐに結果を求めたり、治療の評価をすぐに他院に聞きに行く様な患者さんは、信頼関係が出来にくいと思います。また、歯科医院に何か何癖を付けて文句を言えば治療費が安くなると誤解されている方も稀に居られますが、あまり紳士的な行為とは言えないと思いますし、お互いの感情を害する発言も慎んだ方が良いと思います。本当に歯を良くしたい患者さんは、自己管理や努力も必要です。特に、プラークコントロール等は、地道な努力が好結果に繋がりますので、非常に大切だと思います。当院では、自費と保険の患者さんは皆平等で、治療費によって待遇が変わる事は決してございません。福祉の患者さんも、会社の社長の患者さんも診療台の上では、皆同じ人間ですので安心して下さい。皆さんも、同じ治療を受けるなら、明るく楽しく受診出来る様に、頑張って下さい。素敵な、デンタルライフをお祈りしてます・・・。
O不況で歯科の治療費の支払いが不安ですが、どうしたらよいですか?
経済的理由により、歯科治療が不安な患者さんは、まず医院の院長に正直に相談されるのが良いと思います。もし、生活保護や母子家庭等の福祉医療に該当する場合は、最寄の区役所等の行政の窓口に相談に行って下さい。リストラ等により退職される場合は、社会保険の任意継続という制度も有りますので参考にして下さい。但し、2003年4月より社会保険本人の一部負担金が3割となりましたので、社保の継続療養や退職者国保は廃止となりました。保険診療の一部負担金というものには、原則的には値引きという事はありませんし、保険診療の点数は全国共通です。もし、福祉に該当しない患者さんで経済的余裕の無い人は、院長に相談して、自分の経済的状況で出来る範囲の有効な処置を選んでもらうと良いでしょう。例えば、パノラマレントゲン検査や歯周病の検査を、必要であってもわざと省けば少し治療費は安くなります。その場合、余裕の出来た時に、改めて調べる事とします。また、金属で充填する歯をセメントやプラスチックで充填する事によって、少しセーブできると言う事も有り得ます。但し、この場合耐久性が落ちる事も有ります。とにかく、歯科治療が法外に高くつくと言うのは誤解で、通常の保険診療の範囲内の場合は無いと思います。医院によっては、保険指定医療機関でない場合も有りますので、心配な方は受診前に必ず確認した方が良いと思います。また、自費診療の治療費の支払いで不安な方は、医院によっては分割払いが可能な場合もありますので相談なさって下さい。歯科疾患を治療せずに放置しておく事は、健康面でも社会生活の面でも非常に不利益になると思います。迷わず受診して、院長に相談して下さい。早く、良くなられる事を祈ってます・・・。
P抗カビ剤 「アムホテリシンB」が歯周病に効くというのは、本当ですか?
最近のTVのワイドショーや新聞紙上で、抗カビ剤「アムホテリシンB」が歯周病の特効薬である様な報道がありました。当院でも、患者さんからの問い合わせが幾つかありました。日本歯科医師会医療課の回答としましては、「アムホテリシンB」は歯周病に対する適応症は無く、医師の裁量権で投与された場合に、何らかの副作用が出る等の医療事故が発生した場合、医療機関に全ての責任がかかってくる事になると言うものです。また、平成12年の日本歯周病学会の論文の中では、アムホテリシンBは歯周病には効果が無いという、逆の見解が述べられております。よって、当院では、現時点ではまだ学問的に確立されていない治療法であるので、取り入れる予定はございません。きちっとデーターが揃って、薬事法で歯周病への適応が認められたら、当院でも導入しようと思います。噂よりも、患者さんの安全確保が第一と考えておりますので、御理解下さい。
Qコンポジットレジンの新聞報道の安全性の問題は、本当ですか?
2001年12月付けの某新聞紙上に、コンポジットレジン(歯科用プラスチック材料)より環境ホルモンが溶出して人体に影響を与えるような報道が有りました。京都近辺の地方紙でしたので、当院にも若干の問い合わせが有りました。その後、阪大歯学部より新聞内容に対する見解が発表されましたので、報告します。そもそもコンポジットレジンとは、現行の健康保険で認められている比較的審美性に優れた充填用の材質です。もしこの材質が無ければ、前歯の小さな虫歯の治療が困難になったり、金属物が多く口腔内に露出する事になりかねません。よって、かなり有益な歯科用の材質と考えられます。阪大の見解によると、これに入っている紫外線吸収剤(HMBP)は、変色を防ぐための成分で、他の分野では日焼け止めクリームの有効成分に等しいものであるとしてます。最近の研究で、動物実験においてHMBPの女性ホルモン様活性発現量が報告されましたが、非常に少なくて影響の小さいものです。これを、人間の体重に置き換えて試算してみると、これを歯に充填した場合には、人にリスクがある量の1億分の1と成ります。よって、コンポジットレジンのHMBPの溶出は、人体に対して大きな影響は無いものと判断されます。これでも、プラスチック材料に嫌悪感のある患者さんは、相談して下さい。その場合、通常の治療以上の歯牙の切削が要求されたり、前歯では保険の効かないセラミック素材を使う事になります。私は、他の環境問題と比較して、歯科医療に関しては現在のところ特別な心配は要らないと考えております。
R電話による歯の相談は、無料なのですか?
当院では、原則的に電話やメールやHPの掲示板による歯の相談や質問は、無料にて受け付けております。そして、私の時間が許す限りなるべく迅速にお答えしております。但し、現在の歯科保険診療の項目には、電話再診というものが有ります。これには、患者またはその看護にあったっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合においても、患者が来院した場合の再診と同様にみなし、再診料を算定することができるというものです。よって、医院によっては電話で相談等を受けた場合、後日再診料のみを請求される場合もあるかと思います。この時に、保険組合等から送られてくる医療費通知の通院日数と患者さんが実際に通院した日数が異なる場合が出て来て、誤解を招く事も有ります。決して不正な行為ではありませんので、安心して下さい。但しマナーとして、先生が多忙な時間帯に電話で呼び出すと迷惑な場合もあるかと思いますので、込み入った相談や時間のかかるものはメールやHPの掲示板の利用が良いと思います。どうぞ皆さんも、活用して下さい。

S交通事故の被害者ですが、歯科治療はどうすれば良いのですか?
まず、被害者である患者さんが事故後の歯科治療を希望される場合、大多数の場合は加害者の方の加入している損害保険や示談金や慰謝料によって治療費を支払われる事となります。よって、加害者の方の過失や事故責任が問われる場合が多いので、受診される前に損害保険や法律の専門家を挟んで、賠償責任や治療費の支払方法についてある程度話し合ってから来院されるのが良いと思います。もちろん、かかりつけの歯科医院の方がカルテやレントゲン等により事故前の口腔内所見が判りますので、的確な診断が下しやすい場合が多いかと思います。昨今の事例によれば、保険金がらみの事件も多い時勢ですので、かなり保険会社の審査や査定も厳しくなっていると思われます。当院の場合でも、ひどい場合には審査のため保険会社より6ヶ月以上も治療費が支払われなかった事もありました。特に、自費診療になる場合は一時的にどなたかが治療費を立て替えておかなければ、治療が進まない場合も有るかと思いますので注意して下さい。大多数の場合は、病院における一連の外科処置等が落ち着いてから歯科医院を受診されます。なるべく、事故の状態や被害状況を克明に報告して頂くと、診断書を作成するときに助かります。とにかく、加害者の方と良く話し合われて、後々の問題の無い様にお願いします。通常、レントゲンや診断用模型や口腔内写真等の資料を作り、診断書や治療計画書や見積書を保険会社の方へ提出する事となります。事故が原因で損傷を受けた歯牙等を治療する事となりますが、事故前の歯科疾患との鑑別診断がなかなか困難な場合も有ります。とりあえず、後遺障害の診断も含めて、かなり時間を要する治療となりますので頑張って下さい。

21)歯医者がC型肝炎の温床になるという週刊誌の記事は、本当ですか?
2002年3月発売の某週刊誌に、あたかも歯科医院の院内感染が原因でC型肝炎が蔓延しているかの様な記事が出ておりました。まず、話題に出ていた麻酔薬の使い回しの件ですが、現在の一般的な歯科用局部麻酔のカートリッジは1.0〜1.8MLの容量で非常にコンパクトな物です。この小さな容量の局部麻酔のカートリッジを複数の患者に使い回しするという行為は、あまり現実的でなく、何のメリットも感じられません。もちろん、注射針も殆どがディスポーザブルのタイプで、複数の患者には耐久性の面でも使用困難だと思います。この様な、不便で非能率的な状況からして、不衛生な使い回しをするという事が私には考えられませんし現実味の無い行為だと思います。次に出ていた、感染症対策にならないアルコール消毒という件ですが、昨今では大多数の歯科用器具がオートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)に耐え得るようになっておりまして、通常この方法を用います。また、どうしても高温に弱い器具の場合は、グルタルアルデヒドという肝炎やAIDSウイルスに有効な殺菌消毒薬を用います。アルコールは、本当に器具やユニットの表面を拭くぐらいにしか用いる事は無いです。また、グローブ(手袋)はなるべく患者ごとに交換するのが常識だと思います。たまに忙しくて交換を忘れる事があっても、抜歯等の観血的処置の後には、まず交換を忘れることは無いと思います。もう一つ話題に上がっていた、治療用のハンドピースの患者毎の交換の件ですが、これには色々と問題があります。まず、歯科用のエアータービンやマイクロモーター等のハンドピースは非常に高価なもので、1本当たり20万円前後位は国産のメーカー品ならしますし、もっと高価な輸入品も沢山有ります。一日当たり30人くらいの患者さんに使うとしても、何百万円単位の投資額となります。もちろん、最近の商品はオートクレーブ滅菌対応型になっておりますが、ベアリングの入っている精密機器は高熱と水分を何回も加えると、劣化が著しく進む事が多く見られます。よって、現行の保険点数では、この様な感染予防のための費用が一切加味されておりませんので、すべて医院側の赤字と成り得ます。よって、当院では現在、感染性の疾病を有した患者さんにはディスポーザブルタイプや一般の患者さんとは別の治療器具を用いておりますし、これは、すべてオートクレーブ滅菌しております。但し、健康な患者さんに用いるハンドピースは、使用後に超音波洗浄機にかけてグルタルアルデヒド溶液にて消毒しております。現状として、余程自費診療の患者さんが増えて、感染予防用のチャージを認容してくれなければ、一人一本というハンドピースの数には程遠いと思います。少ない数のハンドピースでも、この様にして使い回せば感染予防になると私は思います。また、、ハンドピースの当院の機種には、切削片や汚物の進入防止装置が付いておりますし、エアーや水は除菌フィルターを通してからハンドピースに送られております。とにかく、患者さんには、予診表に正しく自分の健康状態を記入して頂く事が大切だと思います。隠し事の無い信頼関係が、安全な医療の環境を作るものと、私は信じております。
22)かかりつけ歯科医とは、どんな制度ですか?
 
これは、昨今の歯科健康保険制度の改正の際に新設された制度の呼称です。患者さんに対するインフォームドコンセント、すなわち説明と同意の必要性が広く認知された制度と言えると思います。もちろん以前より歯科医療の現場では、日常的にインフォームドコンセントにより患者さんに治療方針や病状を説明していましたが、最近になって、歯科の保険制度に内容追加された事になります。どういう内容か申しますと、初診もしくは再診時に、口腔内写真や模型や図説を用いて治療方針や病状を説明し、患者さんに歯科医師会所定の治療計画書を渡すという制度です。もちろん、歯科医院側も任意の登録制と成っていますし、患者さんも不必要と思われる方は拒否する事が出来ます。私は、患者さんの歯の健康増進のためには画期的な制度だと思い賛同しております。この為に増える患者さんの保険の一部負担金は、少しのものですので安心して下さい。私は、定期検診の実施と予防処置が医療費の節約になると信じております。これから治療を希望される患者さんは、この制度を是非とも活用して自分の歯の事をもっとよく知って下さい。
 残念ながら2010年現在、かかりつけ歯科医は制度としては残っておりません。但し、当院では患者指導の一環として自主的に実施しております。

    23)セカンドオピニオンとは、何の事ですか?

医療の現場でのセカンドオピニオンとは、主治医が確定診断や治療方針を立てる為に、他医の意見を求める事を指します。通常、自院での検査結果や自分の立てた診断や治療方針・経過を克明な文章に記して照会状に添付します。この場合、患者さんが主治医の断り無く勝手に他院へ行ってしまうと、この様な専門的なデーターや意見の交換が出来ない状況になります。なるべく、患者さんが現在の治療方針や方法や診断名に疑問が有るような時は、主治医の先生に断って照会状を作成して貰うのが良いと思います。当院においても、内科・アレルギー科・耳鼻科・口腔外科・矯正歯科・ 小児歯科等に、患者さんのセカンドオピニオンを求める場合が良く有ります。歯科の場合でも各科との密な連携が、特に高齢者や有病者の患者さんには必要だと思います。また、患者さん自身も自分の服用している薬や体調の事を、ある程度は把握して問診にて言って頂けると助かります。顎口腔領域の不定愁訴(原因不明の不快感や不調)もこの頃は多いですので、フィジカルな面とメンタルな面の両方のケアーが必要な場合を多く感じます。難しい症例の患者さんも、複数の先生方の協力によって治癒されている場合も多いですので、決して諦めないで下さい。
24)特定療養費制度とは何ですか?

特定療養費制度とは、国民の生活水準の向上や健康に対する価値観や意識の多様化に伴い、国民の健康や医療に対するニーズもまた多様化してきていることを背景として、患者の選択によることが適当と考えられる医療サービスと保険給付でカバーすべきものとの調和を図る事を目的とした制度です。歯科医療の中にもいくつか該当する項目が有りますが、条件や制約が多く着いてきますので症例としては少ないと思います。よって当院では、金属床による総義歯の提供と言う項目のみ現在のところ実施しております。これを簡単に説明しますと、歯の1本も残っていない総義歯の患者さん(上下顎一方でも可)が保険給付外の金属床の総義歯を希望された場合、その負担の一部を健康保険にて給付すると言うものです。現行の保険制度では、約4万円少々くらいは給付されます。よって患者さんは、保険のスルホン床総義歯を作成した時の一部負担金と自費診療から約4万円少々を差し引いた金額を支払う事となります。もちろん、自費診療の金額は各医院によって異なります。但し、歯が残っているような残根上義歯の場合やインプラント上の義歯は該当しません。また、生活保護法の対象者はこの適応は受けれません。保険給付のレジン床の総義歯にてなじみが悪かったり困っておられる患者さんは、この制度を活用されると少しでも安く金属床の総義歯が装着できますのでご検討下さい。
25)スローフードとは、何の事ですか?

スローフードとは、1986年にイタリアで起こった運動で、マクドナルドの1号店がローマに進出してきた頃のようです。手作りの食べ物を大切にする人々が、ファーストフードに対抗してスローフードという言葉を作ったようです。そして、1989年にパリにてスローフード宣言が行われました。その内容には三つあり、その一つは、消えていく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品やワイン(お酒)を守る事です。二つ目が、良質な食品や食材を生産している人を、我々消費者が助けましょうと言う事です。そして三つ目が、味覚教育です。子供たちを含め、消費者に味覚の教育を進めていく事です。日本の料理研究家の服部幸應氏は、子供の教育の一環として食育と言う言葉を提唱されております。私は、現在の日本においてもこれらの事が充分に当てはまると危機感を抱いております。子供たちの食習慣の乱れや食べ残しの増加やファーストフードの増加による咀嚼機能の減退は、憂うべき問題だと感じます。皆さんも、一度自然食品や伝統的な食材を見直して、家族団らんの食事の場を考えてみてはいかがですか?

26)2003年4月の健康保険の改正が心配ですが大丈夫ですか?
2003年の4月より、社会保険の本人の一部負担金が3割負担になりました。ただし、投薬を受けた際の薬剤負担金は廃止になりました。また、社会保険の継続療養も国保の3割負担と一緒なので廃止となりました。退職時の任意継続保険は残るようです。これは昨今の医療保険の財源が切迫している折のやむを得ない政策の一つだと思います。もう既に、老人保健の方は、昨年の10月に改正になりました。患者さんの窓口負担が増加する事は、医療機関側としても大変心外で心苦しく思っております。ただし、従来より社会保険の家族の方や市町村の国保の患者さんは3割負担の一部負担金を支払っておられますし、通常の保険診療の歯科の外来の処置であれば、1回につき2〜3百円から千円前後の負担の増加だと思いますので安心して下さい。また次回の治療時に、義歯やクラウンを複数装着する場合に一部負担金の額が心配であれば、遠慮せずに事前に質問されれば良いと思います。これによって、3月に駆け込み受診が増えたり、必要な患者さんの受診控えが起こる事も予想され少し心配です。私は、患者さんの医療費の負担の増加を抑制するためには、今こそ定期検診や予防処置が重要だと認識しております。当院でも6ヶ月ごとの定期検診やリコールにきっちりと来院なさる患者さんの方が、圧倒的にそうでない方よりも再治療や補綴物の再製は少ないようです。どんな病気でも、早期発見早期治療が大切だと思います。皆さんも、かかりつけのホームドクターをしっかりと見つけて、健康管理に努めて下さい。健康こそが、かけがえの無い財産です。

   27)EBMという言葉を最近良く聞きますが何の事ですか?

EBM(Evidence-Based Medicine)エビデンス・ベースド・メディシンとは、科学的根拠に基づいた医療と定義されます。具体的に言うと、個々の患者のケアについての意思決定の場で現在ある最良の根拠(evidence)を良心的に明らかに理解したうえで慎重に用いることであり、その哲学的起源を19世紀中頃のパリやそれ以前にさかのぼるとされています。EBMが提唱されてきた背景には、一つには膨大な医学研究の蓄積があるとされています。これらの研究はコンピューターの普及とあいまってデータベース化され、インターネットを使って誰もがアクセスできるようになりました。EBMによって、医療費の高騰や社会資源の無駄を回避して、知りうる限りの疫学等の研究結果や実証的かつ実用的な根拠を用いて、効果的で質の高い患者中心の医療が実践できるのです。また、EBMは個々の医師が診療の現場でよりどころとする指針となるほか、各疾患での標準的な診断や治療法を示す診療ガイドラインの根拠にもなっています。当然、歯科診療の現場でも昨今ではEBMが必要とされています。但し、私は医療の現場では、個々の先生の経験と勘も時には必要なものだと認識しております。
28)プロセラ(PROCERA)クラウンとは何の事ですか?
プロセラクラウンとは、ノーベルバイオケアー社より発売されている金属体を一切使わないオールセラミッククラウンの総称です。酸化アルミニュウム(アルミナ)を主成分とするセラミックス体で、優れた強度、理想的な光の透過性、セメント合着性、生体親和性が特徴です。緻密に焼成されたコア部分は、最新のCAD/CAM技術によりスウェーデンのプロダクションセンターにて作製され日本に空輸されます。歯の最終形態には、日本の技工所にて仕上げます。従来のメタルボンドクラウンと同等の臨床術式で導入可能な審美性と生体親和性に優れた補綴物です。2003年5月より当院でも、作製可能な技工所と提携して導入致しました。当院では現在のところ、単冠のみを1本10万円にて提供しております。作製には形成、印象後に約14日間ほど必要です。特に、ブラックマージンと呼ばれるさし歯等の歯肉の黒ずんだ変色の気になる方や金属アレルギーのある患者さんには大変有効です。但し、クリアランスと呼ばれる形成後の上下の歯間の距離が従来の補綴物より要求されますので、適応症の診断は不可欠です。特に上下顎の歯冠長が短くてクリアランスの少ない方や歯軋りのある患者さんは、概ね禁忌になると思います。当院では、プロセラクラウンの破折に関しては3年間の無料再製の保証を付けております。臨床例が増えたら、当院のHPでも紹介する予定です。
29)ポーセレン・ラミネートベニヤとはどんな治療ですか?         
ポーセレン・ラミネートベニヤとは、歯牙のエナメル質の表層のみを比較的薄いセラミックシェルにてカバーする補綴処置の名称です。通常略してラミネートベニヤと呼びます。その適応症としては、まずテトラサイクリン(抗生物質の一種)の影響やエナメル質形成不全症等による変色歯の審美的回復が有ります。すなわち第一選択肢であるPMTCやホワイトニング治療による漂白効果が期待できないような歯を白くする場合に用いる事が比較的多いです。その他として、神経を抜いてある前歯(失活歯)の変色の強い場合も対象となります。その術式としては、歯牙のエナメル質の表層を約0.5ミリから0.8ミリくらい切削して、そこに0.5ミリくらいの歯の形をした薄いセラミックシェルを貼り付けます。失活歯で変色の著しい場合は、1ミリ以上切削する場合もあります。セラミックシェルの色や形態は、患者さんの希望と相談して決定します。変色の著しい歯の場合は、歯の濃い色をマスキングする為に多めにオペーク色を付けますので、やや白っぽい単調な色に成り易いです。但し変色や虫歯の少ない歯の場合には、オペーク色を減らして自然な透明感のある白さが出し易いと思います。また別の適応症としては、矮小歯と呼ばれる奇形の歯の形やある程度の歯の空隙を埋めて自然な形態に直す事が可能です。但し、矯正治療が必要なほどの不正咬合はこの方法では無理です。また、ラミネートベニヤは非常に薄い物ですので、外力には比較的弱いと言う欠点が有ります。歯軋りのある患者さんやボディーコンタクトのあるような激しいスポーツを現役でやっている患者さんには向かないと思います。まずは、歯牙の変色の程度や咬合の状態を診査して、治療方針を立てるべきだと思います。比較的軽度の歯牙変色であれば、ホワイトニング治療の方がコストパフォーマンスは高いと思います。

30)口腔外科等の他院や他科への紹介は無料ですか?
日常の歯科診療の中で、自院での処置や検査が困難であったりセカンドオピニオンを求める場合に、患者さんを口腔外科や内科等へ紹介する事は良く有ると思います。この場合診療所である保険医療機関が、診療に基づき別の診療所である保険医療機関での診療の必要性を認め、これに対して患者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に健康保険において診療情報提供料が算定されます。よって保険医療機関である診療所や病院への紹介は、きちんと文書を添えれば健康保険の範囲内で有料となります。通常は、3割負担で数百円から千円前後位の費用で済みます。もちろん、再診料や初診料等も加算されます。紹介元と紹介先の医療機関や病院の種類によって、多少保険点数は異なります。自院から保険医療機関で無い矯正科等への紹介には、適応できない場合も有ります。また、保険外診療の矯正科からの抜歯依頼等の場合は、自費の処置費に含まれている場合も多いと思います。当然、文書なしの簡単な紹介や他院のパンフレットを渡すような場合は無料です。

31)最近の歯科では、抜歯後の投薬に胃腸薬は出ないのですか?

昨今の歯科における保険診療の投薬の指導の中に、処方する薬剤の適応病名に歯科に関する病名が無ければ不可という内容があります。よって、抜歯後等の抗生物質や鎮痛剤の投薬の際に胃腸薬を一緒に出す事は出来なくなりました。もし、お薬を飲む事によって胃腸が弱くて心配な患者さんは、内科の先生に胃腸薬を貰うか自分で薬局で胃腸薬を購入して頂く必要が有ります。行政の医療保険指導は、融通の利かないもので殆ど例外はありません。また、色々な新薬が開発されても、厚生労働省の認可が下りて歯科病名適応が付かないと患者さんには保険にて投薬出来無い事になります。一部の歯周病用の薬剤やホワイトニング剤は、院長の裁量の範囲にて個人輸入にて自費にて使用する事は可能です。当院では、投薬をする患者さんには薬剤情報を記載した文書を渡しておりますので、使用方法や効能や副作用を参考にして正しく服用して下さい。
32)医療費控除とは、どんな制度ですか?
現行の税法では、本人または同一生計を営む家族がかかった医療費の合計が年間で10万円もしくは総所得額の5%を超えた時、その超過分が医療費控除の対象となり、いくらかが税額より還付されます。但し、上限は200万までとされています。通常、唯一美容目的の成人医療は対象外となっておりますが、当院での歯科治療に関しては、概ねその対象と成り得ます。ホワイトニング等の審美処置においては、診断書等が必要な場合も有ります。詳しくは、税理士さんに問い合わせて下さい。皆さんも、確定申告の前には、医療費の領収書の整理を行って見て下さい。当院の場合、領収書を紛失された場合も再発行させて頂きます。
33)MI(ミニマル インターベンション)とは、何の事ですか?
MIとは、最小限の侵襲で最大限の効果を発揮できる処置を選択する事が患者にとって有利であると言う考えです。これは、すべての医療に当てはまる基本的な考え方です。もちろん、歯科医療にも当てはまります。なるべく、歯を削らず、抜かず保存する事が該当します。例えば、コンポジットレジンやセメント等の歯質接着性修復材料が近年進化して安定して使用出来るようになりました。その為、充填やブリッジの支台の為の歯の切削量が、大幅に減少しております。当院でも、エナメル質の範囲内で接着するアドヒージョンブリッジは、多く手がけております。また、審美修復の面でも、歯面を0.5ミリほど切削するだけで、ポーセレン・ラミネートベニヤを虫歯や変色歯に装着可能です。虫歯で痛んだ歯の神経の治療も、昨今では色々な薬剤の進歩によって保存する率が高くなって来ました。
34)義歯(入れ歯)は、夜間就寝中は外しておく方が良いのですか?
夜間に義歯(入れ歯)を装着すべきか、外しておくべきかは色々な諸説や意見があります。まず、長時間義歯を装着していると歯肉が圧迫されて血行不良を起こしたり、義歯を支えている顎骨が疲労を起こしやすくなります。また、食後はなるべく清潔に保つ為に義歯を洗浄する方が良いと思われます。よって、一日中義歯を装着し続ける事は、あまり感心できません。靴を一日履き続けると足がむくむのと一緒です。よって、義歯を外して洗浄したり、歯肉を休める事は当然必要だと思われます。ただし、残っている歯の状態や欠損歯数によって、夜間の着脱の是非は変わってくると思います。もし、残存歯が1〜3本程度の少数でぐらついているようでしたら、義歯を装着して寝る方が良さそうです。もちろん、食後の義歯の洗浄や適度な休息は必要でしょう。食後や入浴中に義歯を外して休息させている患者さんもおられます。あまり、形式にはとらわれずに、患者さん自身の具合の良い方法を選択なさったら良いと思います。
35)歯科医院と消費税について教えて下さい。
2004年の税制の改正により、比較的小規模な歯科医院にも条件が合えば2005年より消費税が課税される事となりました。現在の所、課税対象と成るのは、自費診療の治療費及び歯ブラシ等の販売物品および有料の健保関連外の文書作成料です。但し、健康保険の範囲内の治療費には消費税は課税されません。また、歯科医院にて発行する領収書には、収入印紙の添付は現在の所不要です。当院においても2005年1月より消費税を徴収する事となりました。
36)ブラシング指導に使う歯ブラシは清潔ですか?

当院においても、歯科衛生士の行うブラッシング指導の際には、実際に歯ブラシや歯間ブラシを用いて実地指導致します。その際に使用する歯ブラシ等は、すべて滅菌消毒はなされています。但し、使いまわしの歯ブラシに嫌悪感を抱かれる患者さんは、新品の歯ブラシを医院の受付にて購入なさるか、予めマイブラシを持参して頂くと良いと思います。ブラッシング指導は、歯周病の予防におけるプラークコントロールには不可欠ですので、必ず受診なさる事をお勧めします。
37)歯の検診や予防処置は健康保険適応外と聞きましたが、本当ですか?
広義の解釈では、現行の健康保険制度は、疾病における処置に対する給付なので健康診断や傷病の無い予防処置は入っていないと思われます。但し、歯科においては歯周病のメンテナンス処置やシーラント呼ばれる初期齲蝕の進行を予防する処置等は認められております。多分、成人以降の方で全く歯周病の兆候が口腔内に無いという方は、殆ど皆無だと思います。よって、数ヶ月1度、歯のチェックを受けたり歯石除去を受けるのは、歯周病の治療として妥当だと思われます。但しこの辺は各医院によって、対応が異なる場合がありますので、詳しくは通院される医院にご質問下さい。

38)健康保険の入歯の治療には、何かと制限が付くと聞きましたが本当ですか?
確かに、健康保険適応の義歯(入歯)の治療には、何かと制約や制限が付きます。まず、その一つには、6ヶ月義歯と申しまして、新しい義歯を作ってから6ヶ月間は新しく作れないと言う制限があります。もちろん、義歯が壊れたときの修理は可能ですし、また歯ぐきが痩せた時のリベースと言う裏打ちの様な修理も6ヶ月以内でも可能です。但し、不測の事態で多数の歯が抜けてしまい口腔内の歯の数に変化が生じた場合にも、6ヶ月以内の作製が認められる場合もあります。その他としては、義歯を作製する素材に制約が有り、チタン合金等の薄くて軽い金属床の素材は保険適応外と成ります。また、義歯をくっつけるための磁石の装置も保険適応外と成ります。
39)2006年4月の健康保険改正で歯科は何が変わりましたか?
まず、治療の内容の分かる明細付領収書の発行が義務化されました。(但し平成18年10月までの措置期間あり)多少、発行に時間が掛かりますので、患者さんのお待ち頂く時間が増えると考えられます。もう一つは、歯周病等の各種指導等の文章発行の義務化も有ります。従来ならば、口頭にて説明していた内容を文章化して患者さんに手渡すと言う内容です。こちらの方も大幅に時間が掛かりそうですので、何らかの形で患者さんにご迷惑が掛かる心配があります。その他、治療内容に関する回数制限等も従来よりも厳しくなってきたようです。さらに、平成18年4月以前にあった歯周病のメンテナンスの一部が撤廃もしくは変更されました。また、初診時に計画的な治療を希望れる場合に署名が必要な場合も出てきますのでご了解下さい。

   40)治療毎に頂く領収書や文書が不要な場合はどうすれば良いですか?

患者さんのご希望により治療毎の領収書が不要な場合は、受け付けもしくは主治医に申し付けて下さい。制度的に領収書の発行を患者さんが拒否する事は可能です。また、月末等に領収書を一括して欲しい場合も申し付け下さい。各種指導文書や薬剤情報は、制度的に必要時に必ず発行する義務がありますのでご了解下さい。領収書や各種文章の発行にて時間が掛かり、患者さんに多少ご迷惑をお掛けする事もありますのでご了解下さい。

41)知覚過敏とはどのようなものですか?

虫歯が原因ではないのに歯がしみるような症状を一般的に知覚過敏症と呼びます。その主たる原因には、過度のブラッシング圧(力)による摩耗症や歯周病等による歯肉退縮や咬耗による象牙質の露出等があります。また、ホワイトニング剤の誤った使用も有り得ます。その他としては、歯科医院にて新しい詰め物やかぶせを神経のある歯に装着した直後に暫く出現する事もあります。その治療方法としては、歯科医院にて適切なブラッシング指導を受ける事やフッ素製剤等の塗布やソフトレーザーの照射等があります。また、自宅にてもシユミテクト等の知覚過敏用の歯磨剤を使用することも出来ます。さらにホワイトニングに関しては、歯科医師の適切な管理や指導を受ける事をお勧めします。自己流や通販等によるホワイトニングは推奨出来ません。知覚過敏を放置して置くと歯髄炎や虫歯や歯周病を進行させる恐れも有ります。冷たい物や甘い物でひどく歯がしみる場合は、速やかに歯科医院を受診される事をお勧めします。下記のサイトに詳しく出ていますので興味のある方はクリックして下さい。http://hagashimiru.jp/
42)健康保険証を今日は持ち合わせていませんが、初診での受診は可能ですか?
原則的に健康保険にての歯科診療を希望される場合には、初診時に健康保険証の提示が必要です。但し、外出中に急に歯が痛くなった場合や仕事中にさし歯が取れたと言ったような場合も良くあります。多少、医院によって対応に違いは有るかと思いますが、当院の場合は急患として受け付けております。まず、保険証の持ち合わせの無い初診時に10割負担で全額自費にて治療費をお支払い頂きます。後日、保険証をなるべく早く持参して頂き窓口にて資格等の確認をして清算させて頂き差額をお返しします。この場合、保険証のコピーは不可である事と月末を過ぎると医療事務の締めとなり間に合わない場合も有りますのでご注意願います。初診時や月初めには保険証の確認が必要ですので、皆さんのご協力を宜しく御願いします。
43)歯科医院の待合室は禁煙ですか?
昨今に施行された健康増進法にて、受動喫煙防止策が施されております。もちろん歯科医院の待合室や診療室は公共性の高い場所ですので喫煙は不適切です。また、患者さんの中には、気管支喘息の方や妊婦さんも居られます。当院でも2007年春先より院内禁煙に踏み切りました。私はノンスモーカーですが、従来より歯科治療に恐怖心の強い患者さんより治療前の一服の要請が有りました。当院のある日生ビルも公共のスペースは、すべて禁煙となっております。やむを得ず治療前の一服を希望なさる患者さんには、当ビル敷地内の喫煙所を案内しております。皆様のご協力を御願いします。
44)歯周病の治療にはどんな事を行いますか?
まず、歯周病の診断を行う為にレントゲン検査や歯周ポケット測定等の口腔内診査を行います。次に、初期治療の一環として、スケーリング(歯石除去)やTBI(ブラッシング指導)やPMTC(機械的歯面清掃)を順次行います。さらに、歯肉等の改善が思わしくない場合は、SRP(スケーリングルートプレーニング)やFOP(フラップオペ)と呼ばれる外科的処置も行います。口腔内の歯石や歯垢の付着が減少して、歯周ポケットが浅くなれば効果が認められます。ある程度、状態が改善されれば、3〜6ヵ月毎の定期検診や定期清掃が好ましいです。通常、ブラッシング指導等は歯科衛生士が担当します。
45)アマルガムと言う詰め物は安全なのですか?
まず、アマルガムとは、水銀と他の金属との合金の総称です。現在の歯科修復材料に使われている物は、銀スズアマルガムと呼ばれている物で、銀とスズの合金に銅や亜鉛を添加した粉末を、水銀で練ったものです。その安全性や毒性に関しましては、種々の学説や国により賛否両論有ります。現在の日本の健康保険制度では、歯科治療に認可されて下ります。当院においては、1987年の開業以来、金属アレルギーと廃棄物の環境汚染が心配だったのでアマルガムは一切使用しておりません。長所としては、安価で比較的機械的性質が良く、操作性が容易で有ります。但し、50パーセント近くの水銀からなる合金ですので、口腔内での溶出や腐食を考えると、私は使用したくありません。
47)スマイルデンチャーとはどのような物ですか?
スマイルデンチャーとは、柔軟性と強度を兼ね備えたスーパーポリアミド樹脂を主たる材料とした義歯の商品名です。利点としては、義歯特有のクラスプと呼ばれる金属やワイヤーの留め具を無くす事が出来、さらに薄くて弾力と強度のある義歯に仕上げられます。金具が無いので見た目も自然で、金属アレルギーの患者さんにも有効です。欠点としては、チェアーサイドでの修理が困難で総義歯には向かず、保険適応外である事です。また、東京の三和デンタルが海外の技工所に委託して作製しておりますので、仕上がり納品まで2週間くらい要します。当院におきましても、2008年6月より取り扱えるようになりました。詳しくはこちらをご覧下さいhttp://www.sanwa-dental.com/

48)医療費明細書とはどのようなものですか?

2011年4月の歯科におけるレセプトオンライン化(電算化)に伴い、医療費明細書発行が義務化されました。実質は5月1日からの発行となります。これは領収書とは別に診療内容や回数を明記した明細書を発行するものです。検査や処置内容やお薬の名前や量が患者さんに分かりますので、大変便利で有効なものと考えられます。但し、現行のひな形では、難しい専門用語も多いですし、歯科の保険請求の項目や体系が複雑で非常に難解です。この辺りは、まだまだ多くの改善要素が有ると思われます。そのような明細書が不要な患者さんは受付でその旨を申して頂けたら、発行を省く事は可能です。また、医院毎の体制や条件によれば、明細書の発行を免除される事も有ります。より良い患者さんと医院の信頼関係が構築され、医療の安全性も向上するような制度になる事を私は祈ってます。

    49)同じような治療でも以前と治療費が少し違うのは何故ですか?

概ね1年に1回行われる医療保険の改定等にて、治療費は変動を受ける事が有ります。特に歯科の場合は半年に一度の材料価格の改定が有りますので、同じようなクラウン(被せ物)の価格も時期により変動を受けます。金相場の影響も受けますので、上がる場合も有れば下がる場合も有ります。また、患者さんの加入している医療保険の自己負担率が変動したら治療費も変わります。健康保険証が変わったり更新された時は、自己負担の割合をご注意願います。

    50)医療費通知とはどのようなものですか? 

各健康保険組合より送られてくる、組合員が受診した医療機関に一定期間に支払われた医療費の通知の事です。医療費の総額をお知らせする場合は、お支払いになった自己負担額よりも多い物となります。また、この書面は確定申告の明細書や領収書としては使用できません。ごく稀に、医療機関の看板(通称名)と登録名が異なる場合がありますのでご留意願います。また、電話での症状や治療に関する問い合わせを電話再診として請求する場合もありますのでご留意願います。

51)訪問診療をお願いできますか?
要介護者や何らかのご事情で通院が困難な患者さんのために、訪問診療の制度が有ります。介護認定を受けた方の場合は、介護保険が利用できるケースも有ります。当院の場合は、小規模でマンパワー不足のため訪問診療は残念ながら引き受けておりません。必要な場合は、地区のケアマネージャー経由や歯科医師会から、訪問診療を行っている歯科医院を紹介して貰えます。口腔ケアーも誤嚥性肺炎の予防や要介護者の体調維持には、必須と思います。迷わずにかかりつけの先生に相談してみて下さい。

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