我々歯科医師は、常に新しい治療方法や理論を学び、新しい機材を日々の臨床に取り入れる必要が有ります。そうしないと、時代の流れやニーズから取り残されてしまうのです。もちろん、医療機器や機材のメーカーが販売拡大の為に行っている策略に踊らされている面も有るとは思います。そういう背景も有ってか、私達の同業者の中には昔から新しい物好きが多いような気がします。特に、道具や機械のメカにはうるさい方が多く居ます。車、時計、ゴルフクラブ、カメラ、TV、パソコンetc、何でもニューモデルが出ると興味が沸いて欲しくなる職業的な習性が有ると思います。私も何かと、限定品やカスタムと言う言葉に弱い物です。例えば車に関しては、オリジナルの車体に種々のアフターパーツを取り付けたり交換します。この目的は、決して見栄えだけではなく自分の欲する性能を獲得して、自分だけの一台を所有する喜びに有ります。もちろん、違法な改造は御法度です。法定速度に制限のある日本において時速200キロメートルを超える性能が何故必要かと言うと、あくまで危険回避時の余裕のためであります。安全のためと、法定速度内での好みのドライブフィールを得るためのチューニングなのです。当然、紳士たる運転マナーが要求されます。
パソコンも然りです。メモリーやハードディスクを増設したり、好みのソフトをインストールして使うのも楽しい物です。かつて、私は学生時代に大学の軽音楽クラブでギターを担当していました。弦の太さはもとより、ピックアップや糸巻きの交換にてかなりエレキギターの音質は変わる物です。今でこそ楽器屋で売っているエフェクターボードも、70年代は各自のオリジナルセッティングが多かったように思います。
スポーツにも流行り廃りがありました。スキーは私の学生時代の冬の娯楽の定番でした。今みたいにスノーボードやショートスキーは無かったです。板の素材よりも、ビンディングやブーツの性能にこだわりがありました。サーフィンも70年代には、映画やアメリカ文化や雑誌の影響で大いに流行りました。但し、本格的なサーフィンには体力と技術が必要でそれなりのリスクも大きかったと思います。よって、大阪の街にはファッションだけの陸サーファーが溢れていました。私はサーファーではなかったですが、音楽的にはハワイやアメリカのウェストコーストのサウンドを大変意識しました。今でも、カラパナやセシリオ・アンド・カポーノと言ったグループの曲を、時々診療所のBGMに使いますよ。ゴルフに関しては、実は大学入学と同時に父からクラブセットを一式買い与えられた記憶が有ります。当時は、ゴルフはオジサンのスポーツと言う偏見が僕の中にあり、あまり関心が無かったような記憶が有ります。ところが大学の五回生の頃より臨床の病院実習が始まり、恒例の病棟毎のゴルフコンペが始まりました。否応なしに、猫も杓子もゴルフクラブを持ち出した頃です。新物好きの僕は、誰よりも早くマルマンのメタルウッドを入手していました。Taylor Madeのメタルウッドが日本に正規に輸入されたのは、僕の卒業後だったと思います。腕の方は、我流で尚且つ練習嫌いで、未だに散々な物です。
私の半生の趣味を見ると浅く広く多様で、どれも物になっていませんね。しかし歯科医師の先生方の中には、多くの各ジャンルのセミプロ級の達人がいますよ。日々の単調な生活からの気分転換や人との交流を深めるためには、是非とも何らかの趣味は必要だと思います。但し、くれぐれも家族に迷惑の掛かる趣味は自重した方が良いですね。
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