私の現在の理想とするところの歯科医院は、小さな看板のみの会員制のサロンのような診療所です。診療時間も、午前9時から午後5時頃までで終わりとします。自営業なので休みを取りたい時には、本日休診の看板を自由気ままに出します。これは、私が世間での定年や隠居する年齢まで歯科診療を続けられた時の目標です。細く長く歯科医師としての人生を送りたいものです。自分と共に老齢化した患者さんたちと世間話や歯の健康の話に花を咲かせたいものです。趣味とボケ防止を兼ねた様な診療のスタイルでOKです。難症例や体力の必要な処置は、他院へ紹介するか後継者に育ってくれたら息子に任せる事とします。マイペースの悠々自適の老後のデンティストライフに非常に憧れます。
何故このような話題になるかと言うと、昨今では歯科医院の過当競争の為に年中無休や24時間営業のコンビニの様な歯科医院が出来始めているからです。若手の開業医の歯科医師の中では、夜の9時や10時までの診療も当たり前の時代になりつつあります。私の場合は、開院30年も過ぎ体力的にも自信が無くなり、午後7時迄には必ず帰宅出来る体制を実践しております。長時間労働により注意力が散漫となり、医療事故の原因と成りかねないのも心配です。人間の集中力の限界は2〜3時間くらいだと思います。
昨今における歯科業界への逆風により、大多数の歯科医院では患者数や収入の減少に見舞われている事と思います。その穴埋めに、休日を返上したり深夜までの診療と言う事態が起こっているのです。はたして、自分の家族や子供と一緒に夕食の食卓を囲む事が出来なかったり、健康に不安を感じながら仕事する事が幸せかどうかは非常に疑問に感ずる所です。それでも、経済的な必要性が有って、多くの歯科医師は長時間労働を選択しています。分相応の生活を慎ましく送っていれば、そのような事態にはならないはずです。いつの頃からは、歯科医師にはリッチで派手な生活のイメージが定着しています。今こそ、間違ったステータスや要らぬプライドは捨てなければなりません。
もし今後、医療費削減の政策の実施や歯科医院の数が増えて更なる過当競争の時代になり患者数が減少するのなら、あえて私は時短のススメを提言します。診療時間を短くして、週休二日や三日にするのです。減少した収入に相応な生活スタイルを選ぶのです。余った時間は、お金をかけずに家族や友人と過ごしたり、ボランティア活動に充ててみてはどうですか?また、新たな市民講座を受けてみたり、習い事を始めてみるのもどうですか?現代の歯科医師が日々の診療に追われなくなったら、もっと歯科医師の文化人が増えると思いますよ。
あまりにも、現代の歯科医師はゆとり有る生活から縁遠くて、日々の患者さんや色々な会合や付き合いに追われています。俺は仕事や会合の付き合いが趣味だと言う先生も多く見受けられますが、今こそ余暇の過ごし方を見直したり、家族との時間をもっと持つ事が必要なのかも知れません。時短のススメが、一回り大きな人間性に溢れる歯科医師を作るような気がするのは私だけでしょうか?
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